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きれいな心で食べる

ヤフーニュースで、

フランスの精肉店に対するビーガンの襲撃や脅迫が過激化したため、全国1万8000店が加盟している

「フランス食肉専門店・食肉ハムソーセージ専門店・総菜店連盟(CFBCT)」は6月に緊急事態だと表明し、

政府に保護を要請した、というような情報を見ました。

 

なんてことでしょう!

まったくの筋違い!

彼らは、とんでもなく的外れなことをしています。

 

ところで私は、いわゆる“VEGAN”とは違います。

とにかく、動物を食べることができないのです。

アレルギーでもありません。

とにかく、動物は私にとって、『絶対に食べるものではない』のです。

 

幼い時に食卓で肉を勧められ、それが『牛や豚』と聞いて本当に絶句しました。

 

「あの、牛や豚を食べる?!」

と、生き動いている動物たちを思い浮かべ、「彼らを食べる・・・!?嫌だー!」

と、その時から、動物を食べることを断固拒否し、親から「わがまま」と言われ続け、

それがきっかけで母子喧嘩が絶えずあり、どんなに父母を苦しめたことでしょう。

 

学校でも毎日、給食の時間は苦しく、お昼休みはみんなが外に遊びに行っても私だけは

肉の入った給食カップとにらめっこして

ほとんど遊ぶことの出来ない、辛い拷問のような毎日でした。

 

担任の先生は、悪いことに栄養学の専門知識があり、食べ物の好き嫌いは絶対に許さず、

お昼休みに食べ終わってなければ、次の授業時間(5時間目)も、肉の入った給食カップとにらめっこして、

授業にも参加させてもらえませんでした。

 

それでも、私にとって肉を食べることの方が、もっと辛いことでした。

 

私にとって、動物の肉は始めから『食べ物』ではなく、口に入れるのさえ耐えられないことだったのです。

 

いわゆるVEGANの方でも、いろいろなタイプの方がおられます。

 

人間たちがただ食べるために動物がひどい環境で飼育され、残酷な方法で殺されているのを知ってショックを受け

VEGANになった=肉食をやめる・・・という純粋で心優しい方が多いと思います。

 

動物保護のため、地球環境のため、世界平和を願ってなど・・・VEGANという生き方を選ぶ

というのは、確かに立派なことだと思います。

 

まして、それまでは肉食が習慣だったわけですから、VEGANになるということは、

ご自身の意志によって習慣を変える、生き方を変えるというわけで、たいていの場合、意志の強さを必要とします。

ですから、立派で、志の高い方が多いのです。

 

でも、時には考えさせられる場合もありました。

 

それは、自分はVEGANである・・・ということで、

よくない意味でのプライドが強くなってしまっているのだな・・・と、感じる瞬間を味わった時です。

 

そういう時、人は高慢な雰囲気を醸し出し、言動にもそれがでてしまいます。

 

フランスで起こっていることは、そんな延長線上のことではないでしょうか?

 

 

先日いらしたお客様で、素敵なカップル(ご夫婦?)がいらっしゃいました。

入っていらした時から、謙遜さがにじみ出ていました。

 

まだ、水しか出していないのに、「美味しい~!美味しいねー!」という声が聞こえます。

 

当店は、敷地内のいのり畑で採れたホーリーバジルを入れたハーブウォーターをお出ししているのですが、

それが美味しいといって、感激しておられました。

 

そのあと、焼きたてのスペルト小麦の自家製天然酵母パンを見つけて、「これ、先に食べてもいいですか?」

とおっしゃり、さらにスコーンも。

他に、それぞれお食事をオーダーしてくださったのですが、そのお食事を運んでいくと、

「パンも、スコーンも最高に美味しいです!」

と、男性が言ってくださり、

さらにお食事をまた、「美味しいな~、美味しいね~!」など感激の声を上げながら

食べてくださっていました。

 

カフェの内装や建物のことも、「凄くおしゃれですね~」など、いろいろほめてくださったり、

お世辞を言っているという風ではなく、心から感激しての言葉に感じました。

 

お帰りになる時も、「本当に美味しかったです!普段の食事がいかによくないか・・・と、しみじみ思いました。」

など、言っておられましたが、私は

『この方たちは、きれいな心で食べたのだ』と、思いました。

 

たとえVEGANであっても、いいえ、たとえ肉食をしていても

心のあり方こそ、最も大切なことだと思います。

 

スタッフがいない日曜日、たくさんのお客様に、必死でひとり応対して

お食事提供が遅れがちで、お客様に申し訳なく思うと同時に、ちょっと自嘲気味でいた私は、

あの、素敵なお二人によって、心が洗われたような気持ちになりました。

 

人間にとって、食べ物がすべてではありません。

食べ物は、大切にすべきことですが、最上位にすべきとは思いません。

 

最も大切なのは、『愛』だと思っています。

しかも、人間的情愛ではなく、天から注がれる『アガペ』の愛。

 

感謝の心は、尊く、美しいもの。

アガペから流れてくるものだと思います。